今週のコロナウイルス通信では、ちょうど一週間前にツイートして大きな反響があったニュースを取り上げ、この背景になっている原因をAIと遺伝子の観点から探っていきたいと思います。
これは厚生省が発表したデータをジャパンタイムズの記事が紹介したもので、全国で去年の11月から今年の1月までに1309人が自宅で死亡。そのうち77.5%に基礎疾患があり、38.3%が死亡直前までコロナウイルス感染による症状が全くなかったか、軽い症状しかなく、突然悪化して亡くなったというものです。ここで書かれている基礎疾患の内容は不明です。
軽症から突然死亡に至るのはまだ理解出来ますが、無症状から突然死ぬのはこれまで広く報道されたことがあまりなかったと思います。どうしてこういうことが起こるのかを、AIとエピジェネティックの観点から分析したので紹介します。
高血圧の薬を飲んでいた
コロナウイルスは人間の細胞にRNAを注入する際に、細胞の表面に散在しているACE2受容体というポートを使います。本来、この受容体は血圧を上げる働きをするものであることから、高血圧を抱えている人はこれを抑える薬を飲んでいることがあります。一般に、ACE阻害薬と呼ばれるものと、ARBs(ACE2ブロッカー)と呼ばれるものです。前者はアンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する薬で、後者は受容体自体をブロックするという違いがありますが、目的は一緒です。これらの薬は特にこのパンデミックが始まってから注目を集め、ウイルスが侵入に利用する受容体をブロックするのであれば感染や重症化を防げるのではないかという目的で研究されていました。しかし、去年以降の新しい研究では、コロナウイルスはACE2受容体の遺伝子を活性化させるというエピジェネティック作用を起こし、薬でブロックしてもウイルスは遺伝子をハッキングして再び増やし、侵入することがわかってきています。私達の分析では、ウイルスの侵入を防ぐ目的の有無とは別に、これらの降圧薬を事前に飲んでいた人は、コロナウイルスによる血圧の上昇作用に遭遇し、血圧が乱高下を起こし、それが原因になって心臓発作で急死するケースがあると結論づけています。ACE2ブロッカーが効くかも知れないというディベートは楽しかったものの、不要だった、とAIは述べています。
インターフェロンからの連鎖反応
別の遺伝子も同様の急死を引き起こすことが分析されました。がん治療でインターフェロンを使うことがありますが、主にI型インターフェロンを起因として発生する連鎖反応です。なのでインターフェロン製剤を使っていた人にこのタイプの急死が起こる可能性があると私達は推測していますが、まだ実研究はほとんどなされていません。
この連鎖反応では、まずウイルスの侵入に対して体がインターフェロン(サイトカイン)を生産します。これが、TNFRSF17という遺伝子を惹起し、B細胞成熟抗原(BCMA)の生産を増やします。BCMAは成熟したB細胞の表面に発現し、B細胞の発生や自己免疫応答に関係します。自己免疫です。これはNF-κBというタンパク質複合体を起動させます。以前に配信した「脳細胞再生」や「AIはどう治療するか」を読まれた方はよくご存知かと思いますが、このNF-κBはコロナウイルス感染による炎症や長期障害の中心的役割を果たすもので、今回も例外ではありません。これが心血管組織に炎症を起こし、急死を招くシナリオを私達は予測してます。また、インターフェロンはタイミングと量によって適応免疫に重要なT細胞の働きをブロックしてしまうことがあり、一昨日と今日投稿した下のツイートの内容と整合します。これはつまり、自己免疫系の暴走による急死とカテゴライズされると思います。
このように、コロナウイルス感染による多様な問題はどの遺伝子がオン・オフをハッキングされているのかという観点から見ることで、比較的簡潔にわかります。特にこのようなエピジェネティック的な変化は連鎖反応を伴うことが多く、自然免疫が暴走した結果なぜT細胞が減るのか、などという一見すると矛盾するような現象も説明できます。
コロナウイルス感染が広がっている状況では、上記のような薬を摂取する際には自己免疫疾患の原因にならないよう、慎重に条件を整える必要があると思います。
来週も気をつけてお過ごしください。
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