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コロナウイルス通信 2023年第2週 「駐車場に遺体安置所」

正月休みから一週間が経ち、連休前のデータが世界中で出揃ってきた週でした。

今週の世界のコロナウイルス関連ニュースを短くまとめると、すでに何度も感染の波を受けた国でも猛烈な医療崩壊が起こっている、ということで、コロナウイルス感染に免疫はつかない、という事実を改めて認識させられる週になりました。そんな一週間を手短にまとめ、みなさんがパンデミック情勢のニュースに置いていかれないようにしていきたいと思います。


医療崩壊


先週もイギリスの医療崩壊について書きましたが、イギリスでもついに武漢やインドのときと同様、「遺体の処理が追いつかない」という状況が発生してきました。


・リバプールやソールズベリーの病院の遺体安置所は満杯になり、駐車場やビジネスパークに仮設の霊安室を設置することになりました。ビジネスを守るためにウィズコロナを選んだイギリスですが、ビジネスパークにまで遺体が溢れ出る結果となりました。

・そのリバプールの医師は、救急病棟はもはや医療施設ではなく戦場。患者は、治療の番が回ってきて生き残れるかどうかを選ぶくじ引きをやっているに過ぎないと悲鳴をあげています。

・イギリスのカウント定義でも、今回の波では再感染者の占める割合が40%になりました。

・去年から医療逼迫が続き、救急車の遅れが問題となってきていたイギリスでは状況が11月からさらに悪化。心臓発作や脳卒中で救急車を呼んだ場合、応答時間の目標は18分であるにも関わらず、実際にはイングランド全土で平均1時間半、サウスウエストでは2時間半以上待たされる状態になっています。

・ウィズコロナを選んだイギリスの去年の超過死亡数は、過去半世紀で最悪のレベルに達しました。

・カナダでも同様に医療崩壊が発生。ノバスコシア州では風邪のような症状で救急病棟を訪れていた67歳の女性が7時間待たされ、死亡しました。待合室の席が空いていないため、付添も長居することはできませんでした。

・ブリティッシュコロンビアでも病室に空きがなくなり、コロナウイルスワクチンを2回接種した人は、コロナウイルス陽性の患者と同室に入れられることになりました。


免疫がつかない


冒頭でも書きましたが、何度も感染しているのにまた新たに感染し、再感染時の方が症状が重いというケースが現場から報告されたり、研究結果が積み上がったりしています。


・クラーケン株が最初に確認されたニューヨークでも、アメリカのカウント定義でも新規感染者に占める再感染者の割合が65%に到達。12月の死者は1600人に上り、今後状況はさらに悪化する見通ししかないと専門家。

・オーストラリアでは5回目の感染という人が増加。3回目以降の感染でこれまで以上に悪化し、入院に至るケースが多くなっています。

・米国立衛生研究所が、再感染でも重症化率は変わらず、長期障害を負う確率は再感染に伴って上がるという研究結果をまとめました。


X


ニューヨークで最初に確認されたクラーケン株が話題の中心になっていますが、実はそれ以外の変異株も世界の各地でローカルに支配種になっています。ほとんどがXで始まる系統の変異株です。


・オーストラリアでは比較的クラーケン株の検出数が少ないものの、XBFと呼ばれる変異株が全土で40%を占めるようになりました。

・遺体安置所がパンクする状況に陥っているイギリスではクラーケン株のほかにもオーストラリアのXBFやCH.1.1という変異株が同時に急拡大しています。

・マレーシアではXBB.1とBA.2.75の混合種であるXBLという変異株が出現。スパイクプロテインがクラーケン株に似ており、非常に強い感染力が予測されています。


その他


そのほかに重要だったニュースをまとめます。


・東京都でもクラーケン株が15件確認されました。アメリカを中心に爆発的に増えた変異株なので、日本はむしろアメリカからの渡航者に規制をかけるべきでした。

・クラーケン株は「ありえないほど感染力が強い」ため、ワクチン、過去の感染、その両方からの免疫など、ここ数年人間をある程度守ってきたものが全て通用しない、と南カリフォルニア大学の専門家はUSAトゥデイに話しました。

・日本の死亡数が連日過去最悪を記録していますが、デンマークはそれ以上に悪化しており、平に見える感染数が検査などの工夫の結果であることがわかりました。

・初代SARSで長期障害を負った人は10年経ったあとも倦怠感や筋肉の痛みなどに苦しみ、さらに神経障害などの新たな症状もそれに加わり続けていたことがわかりました。

・コロナウイルスが感染に使うACE2受容体の構造は、ほとんど全ての脊椎動物でほぼ共通であることからコロナウイルスはこれらの生き物にも容易に感染可能。実際に、他の哺乳類から1億5千万年前に分岐したオポッサムにもウイルスが感染したことが確認され、これまで想定されていた以上の幅広い種にウイルスが浸透しているということがわかりました。


個人的に今週特に印象的だったのは、コロナウイルス感染に免疫がつかないことや、長期障害こそが本質であることを説明したツイートが広く読まれたことです。周りに広めたいと思われている方が多いのか、我が意を得たり、という気持ちでイイねして頂いたのかわかりませんが、すでに十分わかっていると思っていることでも論理的に再確認していくことが大切だと思いました。反響の数が大きかったので、非論理的な反論もつきましたが、全体として見ると約0.5%にすぎず、コロナウイルス感染による死亡率よりも遥かに小さくまとまりました。

これをお読みいただいた方はほとんどがツイッターから来られていると思いますが、上のニュースのソースも全て筆者のツイートにあります。

来週もお気をつけてお過ごしください。

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