こんにちは。ルーマニアは昨日に続いて霧深い朝を迎え、空は分厚い雲で覆われています。こういう時に空を飛ぶと、流氷のように雲が空の低いところを覆っているのが分かります。この時期はヨーロッパでは少なくともイスタンブールからコペンハーゲンまでこの空模様になります。実はたった今、週2回のルーマニア語レッスンを終えたところです。ルーマニア語の先生のまわりでもこの春から少なくとも5人感染していて、レッスンがオンラインでなければ確実に一度は先生自身感染していましたし、つまり僕も感染していたということだと思います。この時期全てをオンラインにするのは必須です。5人のうちの1人は警察官で、相当症状が重く出たと聞きました。私立病院に抗体を寄付したそうですが、抗体移植に効果がないという研究結果も出ていますね。
コロナウイルスが一番弱いものは太陽光なようなので、この分厚い雲は人間にとって大変危険なものになりそうです。特に北欧では太陽の照る時間がほとんどなくなるエリアも出てきます。第一波では被害を小さく抑えた北欧の国々も、現時点ですでに大きく感染者を増加させています。僕自身は今年は3月からほとんど家の周りから出ないようにしています。スーパーに行くのも嫌なので、夏は庭を畑にして自家製野菜をとっていました。もし感染したとしても、病院で出来ることはほとんどありません。血液の状態を見ながら必要に応じて酸素吸入をすることが出来るだけで、治療と呼べるようなことは出来ません。僕の友人で、かなり早い時期にブカレストを避難して地方に引っ越した人がいますが、残念ながら家族の同僚伝いで感染してしまいました。その同僚は30人が集まるボートパーティーに主席。そのパーティーに感染者が混ざっていました。既に咳が出ているにも関わらずマスクをせずに職場に現れ、友人の父親が感染。そして子供である僕の友人に自宅で感染させたということです。僕の友人は日常生活を犠牲にしてかなり気をつけていたわけですが、それでもたった1人の愚かな行動から感染してしまいました。明後日で感染してから5週間になります。しかしまだ重い咳が続き、咳をするたびに肺が痛み、また疲労感が激しく一日中寝る以外出来ません。悪くはなっていませんが改善の兆しが弱いというところも辛いです。身体的な症状の他には抑うつ状態が強く出ていて、もしかしたらこれも脳への影響から来ているのかも知れません。先日ニュースで退院した元患者が自殺したと報道されていました。こっちではアルコール中毒などではない限り、自殺はまれなケースです。
日本ではコロナ禍、と呼ばれていますが、これは禍ではないのではないかと僕個人としては思っています。これはこれから続く状態。そういう気がしています。終わる理由が見えません。夏になっても若干ペースがゆっくりになるだけで、感染の拡大は続きます。抗体移植も効かなかったという事例が積み重なってきています。一度大陸中で2ヶ月くらい完全にロックダウンすれば消去出来るのかも知れませんが、政府に反対する人たちやとにかく変化が受け入れられない人たちのせいで衛生上の規則すら守られていません。そうなると、これは少なくとも2年、もしかしたら5年か、それ以上続くことになります。今年畑をやっていて、いろいろな野菜の病気を見ました。芝に生えるカビもそうです。庭に植えた野菜は約7種類程度なので、どれか1種に致命的な病気が入れば庭の1/7が壊滅することになります。こういうことはたぶん常にあらゆる種で起こっているのだと思います。森に住んでいるのですが、森の中でも病気にかかっている草や木を見ることはよくあります。ただ、森は沢山の種類の動植物が混在しているため、遺伝子の壁で病気の炎が燃え広がらないで済んでいるだけです。現状をどうしても認めない人は、内心こういったことを誰よりも深く理解しているのかも知れません。
これが新しい通常状態になるのだとすると、人間は考え方、そして何よりも行動パターンを完全に変えなければなりません。動物はハードウェアである肉体を変えることで進化してきましたが、人間はソフトウェアである思考を変えることで世代内で進化出来ます。このことだけが希望と言えるかも知れません。先々週どうしてもブカレスト市内に行かなければいけないことがあり、往復で55キロ歩きました。約11時間歩き通しでした。以前はよくUberを利用していたんですが、ほとんど同じ行動パターンの他の人よりも僕だけよく風邪を引く。唯一の違いがUberの利用頻度でした。あの風邪がコロナウイルスだ考えると、もうとてもじゃないですが乗れません。こういった変化は既にあらゆる人達を飲み込んでいますし、そうするべきです。
仕事を見渡せば、旅行代理店なども本当に苦しいと思いますし、飲食店も出前やテラス営業などでだましだましやっていてもこれが数年続くとなると抜本的なあり方の見直しが必要になってくるはずです。スーパーなども無人レジが増える可能性が高く、そうすると多くの雇用が失われます。その一方で、資金が現金から逃げているのか不動産市場が活況を呈しており、ルーマニアでは建築業界が華やいでいます。これも一時的な流れかも知れませんが、今後ホームオフィスが一般化すると家の増築や引っ越しも増えるかも知れません。否応なく、我々は変化と適応を余儀なくされています。たぶん、これは待っていれば過ぎ去るものではないです。○○まで待っていれば元通りになるという種類のいわば「危機」ではなく、今まで当然のように受け入れていた現実が、既に遠い過去のものになりつつあるという事態なのではないでしょうか。
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