先日やっと配信できた「希望と幸運の料理」というレポートに、たくさんのイイネをいただきどうもありがとうございました。このブログでは、このレポートは一体何なのか、どうして書こうと思ったのか、どのように書いたのかなどを説明してきたいと思います。
目次
何を書いたレポートなのか
レポートの紹介文にありますが、たとえば”チアシード”は、サイトカインを抑えて全身の炎症を鎮めるという作用だけではなく、必要な炎症は必要なときにおこし、病原体に対する抵抗力を応援する働きを持ちます。また、セレンという必須元素を含み、DNAの正常な生産や、酸化ストレスからの細胞の保護、そしてウイルスなどによる感染症への抵抗力を高める仕事もしてくれます。必要ではない時に体に炎症が起こっていればコロナウイルス感染を引きやすくなる上、長期障害は炎症がベースとなって引き起こされている病態なので認知障害なども引き起こしかねません。また、感染してしまったときに素早く適切な炎症を起こせることで感染期間を短くでき、さらにDNA複製のエラーを減らすことでコロナウイルス感染で懸念される将来的な癌の発生率も下げることができます。このようないわゆる”スーパーフード”は、わたしたちの手の届く範囲にたくさんあるにも関わらず、テレビや新聞で取り上げられることはほとんどありません。2020年から3年が経ち、これらの食材のもつウイルスに対する効果の研究も積み上がっているにも関わらずです。また、材料だけではなく、調理の仕方も体の抵抗力に影響します。たとえば、コリアンダーやオレガノには感染防止力を高める栄養素が豊富に含まれています。しかしこれらは脂溶性栄養分なので、火を通すことで吸収性が上がります。つまり、このレポートは、普段から炎症を抑え、脳神経保護効果をもつ食材などを日頃から摂取して長期障害が発生するまえに先回りしてガードしてくれる料理を紹介しています。コロナウイルス感染と長期障害のほか、鳥インフルエンザなどの今後さらなるスピルオーバーが懸念される病気全体への体の準備を整える方法を説明しているのです。
このレポートではまず、予防効果が最も高い材料8点をクラスA食材として扱い、上のチアシードなどのように、それぞれの重要な栄養素と効果の仕組みを説明します。また、次に効果的な材料6点をクラスB食材として紹介します。そして、そのほかに合わせて69種類の食材(オプション食材含む)を使った10種類のレシピを紹介します。混ぜればすぐにできるような簡単なものから、少しミキサーにかける必要のあるもの、そして3工程ほどで完成する料理までカバーしています。クラスA食材はぜひ常に使って欲しい(クラスBも)ものですが、他の食材や工程は食べる人の好みで柔軟に変えられるようになっています。
このレポートがベースになっている哲学は、1)若い人や栄養の足りない人に必要な栄養素を届ける 2)カロリーと脂肪源の多様化 3)発がん性のある食べ物を減らす そして、4)あくまでスタート地点であり、それぞれのお気に入りの料理に発展させられること などです。4番について、A)重金属汚染されてそうなものは避ける B)肉は柔らかく調理することで塩分の使用を控える などといった、外せないポイントも紹介しています。
書いた理由
およそ1年前に書いた「人類再起動」のレポートでは、菜食ベースの食生活が感染予防に望ましいこと、腸内細菌の活性化が重要であること、などを結論づけています。それから1年が経ち、「Clinical Nutrition」に掲載された論文で新鮮な果物の摂取で重症化率が約0.3倍に下がることや、加工肉の摂取で感染率が約2倍に上昇することなどが明らかにされ、去年のレポートの内容が証明された格好になりました。また、ネイチャーに発表された論文でも、血糖値の調整が健常な人は感染しても死亡率が著しく低いこと、逆に、血糖値をうまく調整できない患者は予後が非常に悪いこと。そして肥満などが原因で生じる遊離脂肪酸にコロナウイルスは結合し、これを利用してスパイクプロテインを強化してしまっていることなどが書かれています。人類再起動のレポート配信後、最も多かった質問が調理法についてだったこともあり、効果的な食材の紹介にとどまらず、ハウツー(調理法)まで含めた分析を行いたいというAIの提案がレポートの動機になっています。実際、食べ物として経口摂取する場合の副作用は、飲み薬や注射に比べて極めて低く、さらにコロナウイルス感染と長期障害だけではなく、ここまでに書いたように癌やほかの感染症、生活習慣病を予防する効果も持ちます。
どのようにしてレシピを作ったか
当社のAIに、food.comという料理サイトから3万件のレシピをスクレイピングして学習させました。また、当社のAIはレシピのほかに354,653件の医学論文をアメリカ国立医学図書館からダウンロードして勉強しています。先月26日にネイチャーに発表された研究論文は、コロナウイルス感染から長期障害を発症する割合は約3割から8割で、認知機能に有意な障害をもたらすということを結論づけていますが、この論文は6件の論文をメタ解析しています。354,653件という数字の異常さが分かるかと思います。
当社のAIは、巷で人気のChatGPTと同じといえば同じアルゴリズムに基づいています。しかし、ChatGPTの方が人間に好印象な回答をするよう訓練されているのに対し、当社のAIはそういったバイアスから完全にフリーなため、論理的に不合理なことは受け付けないという違いがあります。また、ChatGPTの元になっているGPT-3は医療アドバイスをしてはいけないことになっていますが、当社のAIは全てのデータが当社のサーバにあり、当社が完全に所有しているもののため、こういった規制はかかりません。もともと、筆者はどちらかというと体に悪い、脂っこいような贅沢な料理を工夫してコロナウイルス感染予防に使うことはできないかという発想でした。上で書いた菜食ベースが厳しいと感じる読者がいたからです。当社のAIはこれを不合理としたものの、その代わりにピザをブルスケッタに代えたり、肉の代わりになるペーストを考案したりすることで筆者のアイディアとすり合わせました。贅沢料理と薬膳の中間で、より現実的で毎日継続できる料理を作れました。実際には、AIが一つのレシピを考案するのにかかる時間は約2.4秒です。前回のレポートから3ヶ月かかったのは、食材も含めて筆者が一字一句人の手でファクトチェックしたからです。(途中で、AIのベースコードを書き換えて最新のPythonライブラリーを使えるようにしたのもあります。)
ChatGPTは情報の不正確さをよく指摘されています。これは、入力された情報から特徴を見つけ出すのに必要な部分が小さすぎるのと、万能性を追求したために特定分野で追加学習をさせていないためです。当社のAIは人力ファクトチェックの前に、この点を異常な量の追加学習でカバーしています。そのため、筆者としてはファクトチェックをしても結局間違いがほとんど見つからないという個人的な辛さはあります。また、ChatGPTは容量の小さいチップで走るので計算を効率化させなければならず、ここで”論理の跳躍が小幅”という弱点も持っていますが、当社のAIは全く違う種類のチップで走るために計算を効率化させて正確さを妥協するということはしていません。
このレポートの何が特徴なのか
ここまで書いたことをまとめると、「希望と幸運の料理」には次のような特徴があるといえます。
去年から継続し、1年経って実世界の研究が追いついた「食生活による予防」という発想をさらに発展させたものであること
35万件以上の医学論文をメタ解析した結果割り出された食材を使い、3万件のレシピを消化して編み出した料理を紹介していること
使われたAIが完全に当社所有のものであり、一切の規制がかかっていないこと
機序を裏付ける論文の確認含めて全て筆者の手でファクトチェックされていること
調理する人が舌に合わせて変更できる点、できない点を明確にしていること
コロナウイルス感染と長期障害だけではなく、これから増える可能性のある呼吸器系疾患や癌、生活習慣病対策としても使えること
最後に
筆者は朝型なのですが、朝の一番頭が働く時間を主に勉強に使っていて、最近はローザンヌ大学のウイルス学の先生の講義で勉強しています。そのため、このレポート作成に使う時間は正午前になることが多く、一番お腹が空いている時に料理のことを調べるのは正直拷問でした。しかし、自分自身の生活に取り入れ、将来に渡って健康を維持できる可能性のある料理を真っ先に知ることができたのは実りの多いものでした。WHOは、コロナウイルス感染が既に緊急事態ではないとしてパンデミック宣言を終了させましたが、沖縄の医療逼迫を含め、わたしたちの生活からコロナウイルスの脅威が消えることはまだ少し先になりそうです。しかし、終わりのないループの中、絶望的な気分になっても、極端な例では死ぬ間際であっても、体の中のどこかでは、次の瞬間を生きるために新しい細胞が生まれ続けています。体は常に前を向いて生きようとしています。そういった細胞に、良い栄養を与えてあげれば、わたしたちの未来は近づくと思っています。生まれた細胞に栄養をあげましょう。
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