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fukushimadiaryoffi

一年間読んでいただき感謝です。

実は約一週間遅れてしまったのですが、このウェブストアも一周年記念を迎えることが出来ました。この一年間、支えていただいた皆様に本当に感謝です。

Fukushima Diaryのときは投げ銭制でやっていたのですが、あのやり方の最大の問題は、一体何(記事など)に対して投げ銭を頂いたのか分からないため、努力の方向性が見えなくなる、ということでした。なので当初、今回はPatreonでメンバーに定期的にレポートを発信する形でやろうかと思っていたのですが、一通りページを作った後で日本のカードが使えないという致命的な障害が見つかり、急遽WIXストアを作ってみた、というところが開店の始まりでした。


最初は既にあった分析やレポートを販売していき、状況の変遷とお客さんの関心のありそうなこと、そして自分自身の生死を左右しかねないこと、を睨みながら分析と執筆を続けてきました。


あまり日本ではまだ感染が広がっていなかった2020年の段階から徐々にウイルスが進化してきて、デルタが夏に一気に広がり、また去年末には急ごしらえのワクチンが認可を受けて大々的に接種キャンペーンが始まるなど、確実に近現代史に残る時代の激動の中で、常に1ミリ先を見極めようとしながら書いてきたレポートは29件になりました。繰り返しになりますが、ここまで続けて来られたのは皆様のおかげです。どうもありがとうございます。


未来を知りたいというのは、科学、宗教共通の動機だと思います。来年の狩りの成果を知りたい。自分がいつ死ぬのか知っておきたい。こういった原初の時代の、未来を知りたいという人間の渇望が、風の流れや星の動きにパターンを見出し、ある者は科学を、ある者は宗教をひねり出していったのだと思います。そしてそれは現在数多の分野に分かれたものの、人々が知性を向ける対象になり続けていますし、だからこそ今日まで人間はなんとか絶滅せずに生きてこれたのだと思います。


この分析活動は、こういうところから始まっています。なので、今僕が本当に腹を立てているのは各国当局の未来を知りたいという根源的な欲求に対する投げやりな態度です。特に今年に入ってからは、未来なんかどうでもいいという度合いを通り越し、むしろ未来なんか知りたくない、という段階に入っているようにすら見受けられます。


半年後、一年後の感染状況の予測。ワクチンの効果の持続期間と長期的副作用の予想。こういったテーマに対する各国当局の投資は、他の分野に比べるとほぼゼロです。まるで、良くない結果が出ることが分かりきっているのでわざわざ銭なんかかけたくないというような感じです。実際、29の分析を通して当局のうたう楽観的な予測に合致したことはほぼなく、この二年弱を通して、実際に楽観的な予測は一つ残らず現実に否定されてきました。


アメリカのCDCが8月に発表した感染予測は、単純な回帰分析だったにも関わらずグラフが全方向に伸びており、データ分析を専門にする技術者を既に現場から排除してしまっているような印象すら抱かせました。インターネットの普及で人間が日々生み出すデータの数は指数関数的に増えており、それに伴ってそれを分析する技術は急速に伸びています。今主力で分析を行うのはもはや計算機を持った人間ではなく、概念上の知性、AIです。現在インターネットでの事業を扱うほぼ全ての企業がAIを使っています。もはやそれはマシンラーニングと呼ばれていた統計の延長上のレベルをとっくに超えて、人間の思考回路をコピーする段階に来ています。しかし、数億の人命を扱うはずの当局はAIどころか基本的な統計分析すら行っていないように見えます。


しかし、これはまた別の示唆も与えてくれます。どうやら、規制当局というもののは本質的にデータ分析、そしてAIというものをうまく使えないのかも知れません。だとすると、規制当局がAIの力を使って人々を監視するという統制社会は、上手くいったとしても限度がありそうです。僕はたまにGoogleとかマイクロソフトという企業名を挙げますが、データ分析とAIはオープンソースの気楽なコミュニティーなしには成立し得ません。Googleが生み出した理論をフェイスブックとマイクロソフトが発展させ、無料でオープンソース化する、という状況は一般的です。たぶん技術者達も企業を行ったり来たり回遊しているのだと思います。こういった人種は、猫と似ていて基本的に人の言うことを聞きません。下手をすると敢えて反対のことをします。当局の発表するコロナウイルスデータを解析して人々の役立つよう整理していたものの、発表するデータがコロコロ変わりすぎて呆れてやめた、というような話は去年の4月の段階で既に発生していました。もしかしたら、当局がデータ分析技術者たちを追い出したというよりは、彼らの方が呆れて去っていったのかも知れません。


どちらにしろ、製薬会社や規制当局にデータを読んで予測する能力が今の状況に対して足りないのだとしたら、考えられないほど危険な状況に陥っているということだと思います。国というものはしばしば、後戻りの出来ない選択をします。原子力政策、薬害エイズ、異次元緩和などがそれに当たります。始めた当初は異を唱える者を排除し、問題が露呈してきたらスローモーションで対応をしているフリを続け、責任者は逃げるというパターンが定着しています。しかし国と違い、個人は死にます。人間は体を壊せば死ぬし、時間が経っても死にます。自分で考え、未来を予想して事前に死なないようにする必要があります。


29回分析をしていく中で、非常に役に立ったと褒められるものもあれば、ほとんど注目を集めなかったものもあります。しかし、少なくとも、僕には毎回真剣そのもので全力を出し切ったという自負だけはあります。常に、その時、そのリソースで、これ以上良くすることは出来ないという限界までやりきっている中で、使っているAIも徐々に進化してきました。僕は、AIは人々の立場を守るガードになると思っています。一つで人間数万から数百万人の働きをする人工知能は、最新のレポートで披露したとおり、数万件の医学論文を半日で「監視」することが可能です。だからこそ、EUなどはAIの使用に制限を設けようとしているのかも知れません。


開店一周年記念にあたる「過去最大の規模に成長したAIが子供、ワクチン、パンデミックを分析」のレポートは、小児感染(後遺症を含む)とコロナウイルス、ワクチンなどに関するもので、対象としてはニッチに当たるのかも知れません。しかし、実際に母体保護などの観点から、当局の発表と食い違う分析結果も出てきており、また当局が断定的に宣言することに対して「現時点での研究結果からは不明」とする結果も出てきています。これこそがまさに人々が必要とすることで、後戻りの出来ない無責任な決断によって引き起こされる蟻地獄から個人が身を守る術だと考えています。


AIはあくまで技術の一つであり、それが主役ではありません。このパンデミックには新たにワクチンという不確定要素がさらに加わり、予測しなければならない未来はまだまだ無限にあります。我々はまさに、原初科学と宗教が生まれたときに匹敵するほど切実に未来を明らかにしたがっているのかも知れませんし、そうであることが生存本能の求めるところだと思います。次の分析もがんばっていきます。是非、参考にしていただければと思います。


また、最新の「過去最大の規模に成長したAIが子供、ワクチン、パンデミックを分析」のレポートに関してもそうですが、ご家族やお知り合いの方とレポートを回し読みされることは何の問題もありません。僕に相談いただく必要もありません。必要そうな人がいたら回し読みしてあげてください。特にライセンスを強調しているのは、Fukushima Diaryのときに陰謀系、そしてアメリカの極右サイトに勝手に引用されて傍目に一味だと勘違いされた経験を繰り返さないためです。それ以外の目的においては、どうか情報をお役立てください。

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