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ミトコンドリアレポート完成のお知らせ

はじめに


前回の「直感強化」の配信開始から約3ヶ月が経過しましたが、世界のコロナウイルス状況は変わらないどころかむしろ悪化しており、FLiRT系統と呼ばれる遺伝子変異の組み合わせを持つKP.1~3変異株がこれを牽引しています。残念ながら日本も例外ではなく、6月第一週の時点で、全国に約5千ある定点医療機関に報告された新規感染者数は前週の1.13倍で、5週連続して増加しています。入院者数、ICU患者数もほぼ同様に約1割ずつ増えており、感染と重症化のデカップリングが見られません。現在オーストラリアからスペイン、タイまで、北半球南半球問わず世界中で再びコロナウイルス感染が増えています。やや遅れて感染の波が訪れているアメリカでは、感染の他に長期障害も増えています。4月の時点で1,370万人が現在進行系で長期障害を負っていて、そのうちの約580万人は子供だと推計されています。1年以内で回復できる人は22%に過ぎず、約8割の人が複数年に渡って症状を負いますが、何年で治るのかということは現在のところわかっていません。

マスクを含めた各種規制は、コロナウイルスの死亡率が下がったことを理由に解除されました。しかし、もう一つの大きなリスクである長期障害については、症状の全容はもとより、原因、機序、治療方法などほぼ全ての面で未解明のままです。こうした状況の中、現在までに分かってきている病因の一つにミトコンドリア不全があります。コロナウイルスのオートファジー抑制や、自己複製に貢献しないタンパク質生成の妨害等複数の要因から、感染者の体内では機能するミトコンドリアの量が激減し、これが脳や筋肉のエネルギー不足や細胞代謝の異常を引き起こしていることが判明しています。ミトコンドリアが生産する「ATP」は全身のエネルギーであるため、この機能の改善は多くの研究者の夢でありながら、最も難しい挑戦の一つでもあります。

前回4月に配信した「新しい分析の進捗状況 ー ブレインフォグ下ではニューロンが”レモネード化”している」というブログ記事で紹介したように、当社は認知疲労の解決法を探すうち、ミトコンドリアのATP生産を効率化することで脳細胞の酸性化を防ぐことが出来る物質4種類の組み合わせを突き止めました。これはミトコンドリア自体の生成や新陳代謝も改善するため、明らかにただの認知疲労の解消だけではなく、ミトコンドリア異常で生じるあらゆる問題に対処できる潜在力を秘めています。この物質群に関するレポートが完成したことを報告するのがこのブログ記事です。今回の投稿では、この物質群が作用する機序の一つを紹介します。



PGC1αの力を引き出してコロナウイルス長期障害からの回復を目指す


1.前回のブログ投稿の要約 :前回のブログでは、認知疲労の影響について説明し、ニューロンをミトコンドリアからエネルギーを必要とする小さな工場に例えました。激しい認知作業中にニューロンは緊急エネルギー源を使用し、その結果、代謝副産物や細胞内の酸性度の増加を引き起こすことがあります。この「レモネード効果」は、長期障害の一般的な症状であるブレインフォグも論理的に説明しています。これらの影響を軽減するために、ミトコンドリア機能を回復し、認知疲労を減らす可能性のある解決策を調査しました。


2. 4つの主要な成分を発見しました :広範な研究を通じて、長期障害で乱れた重要な経路を標的とすることで、ミトコンドリア機能を大幅に向上させることができる4つの主要な成分(化合物W、X、Y、およびZとします)を特定しました。


3. 長期障害におけるPGC1αの抑制とミトコンドリア機能障害:コロナウイルス感染中、PGC1αが抑制されることが観察されており、これがミトコンドリア機能障害につながっています。この機能障害は、ブレインフォグ、重度の疲労感、心臓の問題など、長期障害の症状の主要な要因です。PGC1αのレベルを回復することは、ミトコンドリアの健康を改善し、これらの衰弱性のある症状を軽減するために重要です。

(解説:コロナウイルスは、細胞がエネルギーを作る方法を乱し、ブレインフォグ、 極度の疲労、心臓の問題などの症状を引き起こすことがあります。影響を受ける主要な要素の1つが、細胞がエネルギーを作るのを助けるタンパク質であるPGC1αです。PGC1αを修復することで、エネルギーレベルを正常に戻し、これらの長期障害の症状と戦うことができます。)


4. PGC1αとは何か?:PGC1α(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ補因子1アルファ)は、ミトコンドリアの生合成と機能のマスター調整因子です。エネルギー代謝、酸化ストレス応答、および全体的な細胞健康において重要な役割を果たします。PGC1αの活性を高めることで、ミトコンドリアのバランスを回復し、エネルギー生成を改善し、ウイルスの影響に対する体の回復力をサポートします。

(解説:PGC1αは、細胞がエネルギーを作り出すのを助けるマスタースイッチのようなものです。細胞を健康に保ち、十分なパワーを得るために非常に重要です。PGC1αがうまく機能すると、細胞はより多くのエネルギーを生成し、ストレスに対抗し、強さを保つことができます。)


5. PGC1αを上方修正するための”フォーミュラ”の相乗効果:私たちのフォーミュラには、PGC1αを相乗的にアップレギュレート(上方修正)する成分が含まれています:

  • 化合物YはmTORを抑制し、”酵素S”を減少させ、インスリン感受性を高めることでPGC1αを活性化します。mTOR経路を標的とすることで、化合物Yは細胞の恒常性を維持し、ミトコンドリアの機能をサポートします。

  • 化合物Wに含まれる”塩DG”は、PGC1αを活性化することが示されています。この活性化は、ミトコンドリアの生合成をサポートし、コロナウイルスによる細胞損傷からの回復力を高めます。

(解説:私たちのフォーミュラは、4つの特別な成分を使用してPGC1αをブーストします。特に:

  • 化合物Yは、インスリンの処理を改善し、PGC1αを遅らせる特定のタンパク質を減少させることで、PGC1αをより活性化します。

  • 化合物WもPGC1αを活性化し、細胞内のエネルギー生成をサポートします。)


6. PGC1αのアップレギュレーションによる認知および全身への効果:PGC1αを上方修正することで、”フォーミュラ”は大規模な認知および全身への効果を提供します。ミトコンドリア機能が改善されることで、認知疲労が軽減され、脳の健康が向上し、全体的な活力が増します。これは、長期間の疲労と認知障害に悩む長期障害患者にとって特に重要です。ミトコンドリア機能の向上は、心血管の健康、筋肉機能、代謝効率をサポートし、幅広い健康改善を起こします。

(解説:PGC1αのブーストによる利点:PGC1αをブーストすることで、疲労やブレインフォグを減らし、脳の健康を向上させ、エネルギーレベルを増やすことができます。これは長期障害の症状に役立つだけでなく、心臓の健康、筋力、および代謝もサポートします。)


7. PGC1αはHAR20でもあります PGC1αはヒト加速領域(HAR20)として分類されており、人間の進化において決定的な役割を果たしました。この遺伝子は、進化した認知機能、エネルギー代謝、適応性を可能にすることで、私たちを人間として特有の存在にする役割を果たしてきました。PGC1αを強化することは、回復を助けるだけでなく、私たちの進化的な強みを引き出し、より良く、より回復力のある存在にします。

(解説:PGC1α:人間を人間たらしめる鍵  PGC1αは、人間が進化した脳機能を持ち、さまざまな環境に適応できる理由の1つです。PGC1αを強化することで、病気からの回復を助けるだけでなく、進化の強みを引き出し、私たちをより良く、より回復力のある存在にします。)


配信予定


レポート自体はすでに完成しており、現在タイトルなどを決めています。明後日の6月21日(金)に配信開始する予定です。ご興味のある方は注目していてください。


レポートの序章を下に紹介します。こういった感じで始まります。

なお、今回のレポートはメインに続いて、「日常語バージョン」をつけています。どちらも内容、構成ともに同じですが、「日常語バージョン」の方ではできる限り専門用語をなくし、簡潔に説明しています。序章部はどちらも共通です。


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序章



ヒト加速領域 (HAR)


チンパンジーとの共通祖先から分岐して以来、急速な進化を遂げてきたヒトゲノムのセグメント。他の霊長類と比較して、遺伝子の変化が顕著な領域である。

これらの領域は、高度な認知機能、脳の発達、および他の霊長類と人間を区別する生物学的側面など、人間に固有の特性に寄与していると考えられる。



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なぜ人間の脳は疲れるのか。筆者は幼い頃からこのことをずっと考えていました。筋肉でもなく、量が減るわけでもない脳が”疲労感を感じる”とき、その中は一体どうなっているのでしょうか。そしてその疲労感は現実であり、客観的に測定できるものなのでしょうか。この「注意疲労」に対する疑問を探っていくうち、脳細胞にとってのバッテリーであるミトコンドリアにその答えがあることが分かりました。


現代のナノテクノロジーが可能にした巨大なAIの異種類を組み合わせることでこれまでの分析よりも圧倒的に速く、そして深くなった研究により、単なる脳の疲労の原因究明から解決策、そしてミトコンドリアのマスタースイッチに触れることで生物としての存在に計り知れない影響をもたらすことまで明らかになりました。このレポートでは、その仕組みを解き明かしていきます。


冒頭で触れたヒト加速領域は、このマスタースイッチの遺伝子を指します。チンパンジーと比較して、シベリアからサハラ砂漠までを住処とし、圧倒的な環境適応力と耐久性、そして柔軟な知性を僅かな期間で手に入れた人類を、ヒトにしたのはほかでもないこのマスタースイッチです。今回紹介する僅か4種類の物質は過去10年間で急速に研究が進められてきた通り、単体、そして相互作用を通して複雑に絡み合う細胞組織に影響を及ぼし、ミトコンドリアの機能を目覚めさせます。このマスタースイッチを発展させることは、人類が辿ってきたアフリカの密林からの旅をさらに押し進めることになるのかも知れません。ヒトをさらにヒトにさせる研究。疲労しない脳は途轍もないポテンシャルを秘めています。対して、昨今猛威を振るっている新型コロナウイルスは急性期を過ぎても何年にも渡っていわゆる後遺症・長期障害を引き起こすことが明らかになっています。この根本原因の一つにミトコンドリアの撹乱があり、機能不全に陥ったミトコンドリアが体の中でエネルギー不足から酸化ストレスの増大といった生命の危機を引き起こします。ミトコンドリアのエネルギー効率を劇的に高めることで類人猿に別れを告げたヒトにとって、ミトコンドリアの減衰は、単なる病気ではなく、退化といえます。新型コロナウイルスは人類が600万年かけて辿ってきた道を逆方向に進めようとしています。こういった中で、マスタースイッチの潜在力を目覚めさせる選択は、ヒトの進化をさらに押し進めるか、あるいはウイルスに敗北してアフリカに帰るかの交差点なのかも知れません。

今回はこうした研究の成果を皆さんにできるだけ楽しく理解していただくため、「メイン」と「日常語バージョン」の2つを用意しました。どちらも内容・構成ともに同じですが、日常語バージョンの方では複雑な専門用語や表現を廃して論旨を明快にしました。分子生物学に詳しくない方、時間のない方は日常語バージョンから読み始めることをおすすめします。また、構成が同じなのでメインと日常語バージョンを往復しながら理解を進めるのも効果的です。


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最後に、レポートの目次を添付します。今回は日本語レポートと英語レポートを同時配信します(別売りです)。主要物質名は***にしてあります。
















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