今週も、世界で起こったコロナウイルス関連のニュースをまとめていきたいと思います。先週はワクチン関連のニュースのトーン変化が目立ちましたが、今週も継続して顕著になっています。
一斉に撤退する国々
先週までに、イギリスがコロナウイルスワクチンの新規接種を取りやめる方針を決めたことを書きましたが、今週になってからその他の国や地域も一斉に同様の動きを見せ始めています。
・アメリカは、今年の夏までに政府によるコロナウイルスワクチンの提供をやめることを発表しました。
・カナダのケベックも、今後はコロナウイルスワクチンのブースターを、これまでに感染したことのない脆弱な層の人たちのみに勧める方針に変える発表をしました。
・台湾も、この3月から4月に一斉に期限の切れるファイザーワクチンの追加購入をしないことを発表しました。また、それ以前の今月21日から、18歳以上の初回接種はやめるということを決めました。
・ジョンソンアンドジョンソンのワクチン接種後にギランバレー症候群が起こる可能性は、ファイザーやモデルナのワクチンの約10倍高いということがわかりました。
動物からの還流変異株
コロナウイルス通信では、これまでの5週間ですでにクラーケン、オルトロス、ディアボロスなどの変異株を紹介してきましたが、今週はそれにさらに新しい変異株が加わりました。
・クラーケン以前に支配的だったケルベロスとよばれるBQ.1.1株の後継種、DN.1.1.1は、感染時に人間のACE2受容体に取り付く力が、あのクラーケンの倍強いことがわかりました。
・このDN.1.1.1株には、ミンクへの適応過程で身についたと思われる変異遺伝子が備わっていることがわかりました。また、XBB.1.12という変異株にも同様のミンクへの適応の痕跡が見つかりました。
・クラーケンの後継種と思われるXBB.1.9.1という変異株が、イングランドからのウイルスサンプルの3%を占めるまでに突然増えました。
・イギリスでは、クラーケンよりもさらに免疫回避力の強いオルトロス株が全体の25%を占めるようになったものの、同様にクラーケン以上の回避力を持つCA.3.1という株も出現しました。
・オーストラリアのビクトリアでは、バイソスと呼ばれる変異株XBFが支配種になっており、この地域のみ他の州よりも死亡率が倍近く高くなっていることがわかりました。
・すでに消滅しかかっていると思われていたアルファ、デルタ、ガンマなどのこれまでの変異株が、北米に多く住むオジロジカに根を下ろしており、鹿が貯蔵庫になってしまっているという研究が発表されました。
束の間
イギリスで再び感染数が増えていると先週書きましたが、カナダとアメリカでも同様の兆候が見られ、冬の感染の波の落ち着きは束の間にすぎなかったことが伺えます。
・サンフランシスコのベイエリアでは下水中のコロナウイルス量が再増加しており、早くも新たな感染の波が始まっていることがわかりました。
・カナダのオタワでも、下水中に含まれるコロナウイルス量が指数関数的に再増加しており、おそらくあと数週間でまた感染の波が始まるということが予測されました。
長期障害を完全に予測している中国
中国がゼロコロナウイルス政策をやめたときには長期障害のリスクをどう見ているのかという点が注目されましたが、当局は長期障害者の大量発生を完全に予測しているようです。
・中国、貴州省の学校では、女子の800m、男子の1000m走を取りやめることがわかりました。コロナウイルス感染から回復したあとも激しい運動は低酸素症をおこし、突然死などを誘発するからと専門家は述べています。
・一方、アメリカでは現在までに約3600万人がコロナウイルス長期障害に悩んでいることがわかりました。これは感染者の約30%で、長期障害者のうちの約40%が日常生活を送るのに支障をきたしていることがわかりました。
その他
その他、今週特に重要だったニュースをまとめます。
・スパイクプロテインはコロナウイルス感染から回復したあとも1年間は体に残っていることがあり、また、スパイクプロテインを健康な血液に入れただけで微小血栓が形成され、さらにそれを分解する作用を阻害することがわかりました。これが長期障害の原因ではないかという研究が進んでいます。
・アメリカのCDCは、コロナウイルス感染による入院数は今後もはや減少せず、むしろ予想外の動きを見せることがあるという見通しに切り替えました。
・ファイザーの抗コロナウイルス薬、パキロビドとプラセボを比較した結果、感染後4週間の死亡率とウイルスを体から除去する速度に差が見られなかったという研究がランセットに掲載されました。
・ドイツの超過死亡率は40%を超え、パンデミックが始まってから最悪を更新しました。
今週までに、イギリス、アメリカ、ケベック、そして台湾が実質的なmRNAワクチンからの撤退を表明しましたが、どの記事にも具体的な理由は記されていませんでした。今後もこの傾向が継続し、より多くの国がこの流れに追従するのか注目です。来週もお気をつけてお過ごし下さい。
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