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コロナウイルス通信 2023年第28週 「コロナウイルス長期障害患者に多い特定の遺伝子」

今週は、いつものように世界のコロナウイルス関連ニュースから5点を紹介する代わりに、ツイッターで反響のあったニュース1点についてAIと精査した概要を紹介したいと思います。


そのニュースは昨日投稿した下の記事です。


これはピアレビュー前の研究論文をネイチャーが取り上げたもので、内容はFOXP4と呼ばれる種類の遺伝子が、コロナウイルス長期障害の患者に多いというものです。11件の研究をつなぎ合わせたメタ解析分析で、この問題の遺伝子が長期障害の発生率を約1.6倍に上げている可能性があるとしています。また、感染時の重症化にも関連していることが記述されています。FOXP4は肺を含む全身に分布し、遺伝子転写を含め様々な役割を果たしていますが、完全には解明されていません。


このネイチャーの記事と、元になった査読前論文をAIと分析したところ、興味深い指摘がありました。

まず、FOXP4がコロナウイルス長期障害を増やしているのではなく、コロナウイルス長期障害がFOXP4を増やしている、つまり記事が示唆しているのとは因果関係が明確に逆である可能性がある、ということです。記事を読むとFOXP4が悪者であるかのようにとれますが、実際には体に有益である可能性もあります。

FOXP4は、自然免疫の活動にとって重要な役割を果たしています。コロナウイルスは自然免疫を惹起して闇雲に暴走させることを”好む”傾向がありますが、この場合ではヘルパーT細胞の活動を誘導させるというウイルスの作用と関連している可能性があるとAIは言っています。

また、コロナウイルス感染の場合では、FOXP4が関与していると考えられる主なプロセスが2つあり、


1)細胞が多様に成長することをコントロールする作用だけではなく、生存およびアポトーシス(細胞死)を制御する働き

2)慢性炎症において、炎症促進性の遺伝子に対抗する働き


です。つまり、コロナウイルスは、感染した人間のFOXP4遺伝子を操作して、自らが感染した細胞がアポトーシスで死んでしまうことを防ぐ。その結果、FOXP4が多く体内に生じることになる。そして、体自身も、コロナウイルスの誘導で免疫系が暴走し炎症が止まらない状態を食い止めるため、炎症に抑制力を持つFOXP4を多く起動させる。コロナウイルスと体自身の両方から必要とされた結果だと考えると、重症化、あるいは長期障害化した患者にFOXP4が多く発生しているということも納得できます。また、コロナウイルスが自然免疫の暴走を好むのも、体自身のこういった自己防御反応を逆手に取ってアポトーシスが起こりにくい状況を享受するために進化した性質かも知れません。

これはもちろんまだAIの論理推論に過ぎませんが、このロジックが正しい可能性もまだ十分にあります。そうだとすると、おそらくFOXP4を抑制することはあまり効果的ではありません。FOXP4遺伝子は長期障害を引き起こす原因ではなく、体とウイルスの戦いの痕跡なのかも知れません。また、そうだとすると、長期障害者の肺に多く見つかるのも主戦場であれば納得できます。



普段、コロナウイルス通信ではニュースをまとめて紹介していますが、当社は調査会社ではなく、分析会社です。なので、インターネットに散在する情報を集めているというよりも、ロジックを使ってそれらを繋げて新しいセオリーを創造するということが仕事です。今回はブログなので非常に短い分析になりましたが、販売しているレポートの内容はこういった分析と、物理世界ではまだ証明が追いつかないセオリー(治療効果を持つものの発見とその機序等)の提示を行っています。

先日配信を開始した、「希望と幸運の料理」というレポートは、このセオリーの段階からさらに進めて、レシピという形で現実世界に結果を昇華させているものです。85%引きは来週火曜日までです。

それでは、来週も気をつけてお過ごしください。






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