WHOがコロナウイルスパンデミック宣言を「終了」させてから一週間が経過しました。
今週も長期障害関連のニュースを含め、多くの発表があったのでまとめていきたいと思います。
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コロナウイルス長期障害で脳神経症状を有している患者は免疫障害も併発
コロナウイルス感染からの長期障害で、記憶力や集中力を低下させる認知機能障害が起こることは知られていますが、これが免疫系の不全症状とも繋がりがあることがアメリカ国立衛生研究所が行った研究でわかりました。
2020年3月から9月までの間に感染した患者を対象に、急性期から平均で9ヶ月後に分析が行われました。患者の平均年齢は45歳。83%が女性でした。コロナウイルスワクチンの接種を受けていた患者は12人中1人でした。
全身状態を評価するカルノフスキー パフォーマンス ステータスの結果はほとんどの患者で80点以下で、障害が確かにあることが確認され、また認知機能を測定するモントリオールコグニティブアセスメントでは半数の被験者が26点以下を記録し、認知機能が健全ではないことが示されました。特に短期記憶が最も影響を受けていました。
健康な人の集団と比較した結果、コロナウイルス長期障害を抱えた患者ではヘルパーT細胞、キラーT細胞ともにメモリーT細胞が有意に減少していました。その一方で、B細胞による抗体だけは増加していることが観察され、免疫系のバランスに異常が起こっていました。「感染から数ヶ月経過したあとでもこれらの免疫異常が持続するということは、感染が継続しているか、感染に対する免疫反応が異常である可能性を示唆している」と研究者は述べています。自律神経検査でも異常が確認され、今後より大規模な調査が行われることが期待されます。
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長期障害
・イギリスでは現在、長期障害が原因で専門医による治療を必要とする人が約40万人存在。障害を負った人全員ではその約5倍の人数が推計され、長期障害を治療する最初の専門病院が開院しました。[リンク]
・そのイギリスではパンデミック前と比べてちょうど40万人の労働者が労働市場から消失し、それによって経済が0.2%縮小していると労働・年金大臣は述べています。[リンク]
・アメリカのCDCによると、現在進行形で長期障害を抱えている人は全米の成人人口の6%以上にあたる約2000万人にのぼっていることが分かりました(およそ日本の近畿地方の人口に相当)。長期障害をこれまでに経験したことがある人全体では、成人人口の15%以上に及ぶ約5200万人になります。治療法の確立が急務であるものの予算が不足。また、研究にあたっては様々なサブタイプに対応していること。そして、過去にコロナウイルスに感染したことを示す抗体検査などは精度が低いため、これで患者を排除しないことが大事と医療誌は報じています。[リンク][リンク]
統計
・アメリカのワシントン州の保健局が発表したデータによると、コロナウイルス感染で死亡した人でも入院していた割合は最大で25%しかないことが分かりました。内訳を見ると、25%はBN.1という特異な変異株のケースで、去年流行したBQ.1系統の変異株ではわずか10%。クラーケン株のときは約4%しか入院していませんでした。[リンク]
・コロナウイルスが登場して以来、なぜか結核の症例が劇的に増加しています。特にウクライナやスーダンなどの紛争地域で広がっていることが状況を悪化させています。現在世界で一日に約4400人が死亡しており、コロナウイルス死亡数を上回っています。血を吐いて衰弱する劇的なタイプの新しい症状が増えています。[リンク]
・喉と唾液を対象にしたコロナウイルス検査では、鼻だけを対象にした検査よりも早くウイルスが検出されることが分かりました。鼻による検査で陽性が出る約一週間前から喉などでウイルスが増殖していることがあり、この時間差の間に感染を広げてしまっている可能性があります。[リンク]
再来
・カナダのブリティッシュコロンビア州では救急病棟が再び医療逼迫。入院患者が急増し、崩壊寸前に至っていることが報道されました。当局は緊急の対応を求められています。[リンク]
・オーストラリアのシドニーの複数の学校ではコロナウイルス感染が再び拡大し、オンライン授業を再び導入する事態になっています。[リンク]
・中国でもコロナウイルス感染の波が再来。外資系銀行のトレーダーは、周りの人の約1割は再感染したと思うと述べています。[リンク]
・タイでもコロナウイルス感染数が再増加しており、学校での感染予防規制が再導入される結果になっています。[リンク]
・WHOの発表では、直近の4週間で東南アジアでのコロナウイルス死亡数が約320%増加。地中海東部域では約60%増加しています。[リンク]
日本ではコロナウイルス感染の扱いが5類に移行したことから、感染数の発表が行われなくなったようで、目をつぶって運転している車に乗っているような恐怖があります。
来週もお気をつけてお過ごしください。
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