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コロナウイルス通信 2023年第12、13週 「イギリスでは6割以上の人が一日10回以上自分の思考がわからなくなる状態に」

ツイッターの方で少し書きましたが、先週は当社のAIの復旧で手間取り、コロナウイルス通信などを書けませんでした。今週は先週のニュースも含めておさらいしていきたいと思います。



長期障害の実際の規模


コロナウイルス感染症からの長期障害に関する統計は、主に被雇用者保険の認可件数や、研究機関のサンプリング調査結果になります。しかし、認可基準や、医療機関にかかったかどうかなどのフィルターがあるため、実際の規模はわかりづらくなっています(少なくとも過大評価はされない)。その一方で、日常生活で苦しんでいる人の多さは別の角度のニュースから明らかになってきています。


・イギリスでは10人に6人以上の国民が、自分が何を考えていたかわからなくなる状態を一日に10回以上経験していることがわかりました。さらに日常的な記憶力の減退やブレインフォグは半数以上の国民が経験していることが判明しました。この記事ではパンデミックのストレスが原因ということで結論づけられていますが、エビデンスはありません。

現在イギリス経済は非常なインフレで苦しんでおり、2月には消費者物価指数が10.4%の上昇を記録しました。6割以上の人が、起きている間約2時間おきに何を考えていたかわからなくなる状態で、生産活動が維持できているのか心配です。[リンク]


・同じくイギリスでは、去年末の段階で「長期間の病気」を理由に欠勤する人が約250万人にのぼり、統計が始まった1993年以来最悪の人数になっていることがわかりました。

ブレインフォグが仕事中に起こっているだけではなく、そもそも働けない状態になっている人が多いということを示唆しています。[リンク


・アメリカでは労働力が不足し、勉強する代わりに働き始める学生が急増。大学への新規入学生が史上最悪の水準に落ち込んでいることがわかりました。

若い労働者に様々なインセンティブを与えて労働市場に呼び込もうとしているようです。労働力が減って児童労働が蔓延し、それを正当化する論理が吹聴されるだろうと筆者は去年から予測してきましたが、悪い予測に限って当たるようです。[リンク


・一方オランダでは去年、16歳から25歳の若者の実に半数が、自殺念慮を含む強い不安感や抑うつ感を覚えていたことがわかりました。

人間誰でも気分の浮き沈みはありますが、自殺念慮を含むような病的な抑うつ感を半数以上の若者が抱えているというのは明らかに異常事態で、精神異常のパンデミックと言えると思います。[リンク


・胎児のときにコロナウイルスに曝露したことのある男児は、一歳になるまでに運動障害、言語障害、心理的発達障害を含む神経発達障害の診断を受ける率が3%にのぼり、通常の1.7倍になっているという研究結果が発表されました。

すでに生まれている人の長期障害とは少し違いますが、胎児も母体を通したコロナウイルス感染から守られないということがわかってきました。以前から、妊娠中の感染が新生児の神経発達に障害を与える可能性は示唆されてきていましたが、ここまではっきり明らかになるのは初めてです。女児には有意な差が見られなかったということで、Y染色体に関連するのかも知れません。[リンク


・ヨーロッパのデータでは、今年に入ってからの0歳から14歳までの年齢層の超過死亡数が過去2年の同期と比較して異常に多くなっていることがわかりました。

このデータでは死因などは明らかにされておらず、今後の傾向に注目です。[リンク


・長期障害から認知機能障害を負った人を追跡調査した結果、感染から少なくとも2年経過するまで、症状に変化が見られなかったという研究が発表されました。

一般には、感染から1年間様々な症状がつきまとうのが長期障害であると表現されていますが、2年経過した後も認知機能障害に変化がなかったということで、待っていれば治るものなのか、という疑問が湧いてきます。[リンク


・コロナウイルス長期障害の症状の実態や診断基準を未だに確立できない大きな理由の一つは、そもそもまだ一度も感染したことがないという人がどんどん希少になっており、比較する対象群がほとんどいないから、ということが医学サイトに載せられました。

人間はデフォルト状態では本来どれくらい元気なのか、ということが忘れられていっています。[リンク



免疫不全症の人がかかる病気が増加


あまり耳にしたことのない危険な病気が増えているという警告がアメリカCDCなどから相次いで出されていますが、どれも通常であれば健康な成人が罹るようなものではないものばかりです。


・コロナウイルス感染に伴い、両側性カポジ肉腫という病気を発症する人がいるという研究が発表されました。論文では、ヒトヘルペスウイルス8が再活性化したことが原因の可能性があると示唆されています。

カポジ肉腫は通常、エイズ患者の末期に発症することで知られています。[リンク


・致死性が高く、薬剤耐性を高めている真菌感染症、カンジダアウリスの感染数が、2019年と比べて200%に急増しているとアメリカCDCが警告しています。

通常、カンジダアウリスは病院で免疫系が大きく弱っている患者が感染することで知られています。[リンク


・バラなどの植物に感染して銀葉病という病気を起こす菌類が、健康な成人男性に感染するという史上初めての事例がインドで確認されました。この菌類が人間に感染しうるということは、これまで知られていませんでした。[リンク



コロナウイルスワクチンの長期的影響


時間をおいてみないとわからなかったコロナウイルスワクチンの様々な影響も、少しずつ報道されてきています。


・すでにコロナウイルスに感染したことのある人がワクチンを打った場合、ワクチンだけ打った人に比べてキラーT細胞の生産量が70分の1にまで減少していることがわかったという研究がタイム誌に報じられました。これが長期障害の一因になっている可能性があると研究者はまとめています。

コロナウイルスに感染してもあえてさらにワクチンを打つことで、広範な免疫を獲得できる、というハイブリッド免疫説が去年まで唱えられてきました。この研究でも、たしかに表面上の抗体価だけは上がるようです。エビデンスとされてきたことが全体像をカバーしていなかったという事態が明らかになってきているわけですが、抗体価ばかり強調するデータのあり方に異論を唱える専門家はいなかったのでしょうか。[リンク


・イギリス国家統計局が、アストラゼネカのコロナウイルスワクチンは心筋炎を含む心疾患による死亡率を有意に高める証拠を確認したと発表しました。特に12歳から29歳の女性は、打ってから3ヶ月の心疾患死の率が3.5倍高まることがわかりました。

しかし、この研究は長期リスクに比べて3.5倍高まるという計算なので、打っていない人に比べてどれくらい変わるのかは明らかではありません。[リンク


・そのイギリスでは、コロナウイルスワクチンによる障害への賠償請求が増加しており、担当者を20倍に増員したものの、80人で4000件の賠償申請を処理する事態になっていると報じられています。[リンク


・スイスでも同様の事案が報告されています。スイス国営放送は、コロナウイルスワクチンのブースター接種で激しいかゆみと腫れを伴う慢性蕁麻疹が副作用として起こることを報じました。ローザンヌ大学病院に駆け込む患者がこの一年で増加していました。[リンク



アークトゥルス


デルタが最初に確認されたのと同じインドのマハラシュトラで、アークトゥルスと呼ばれている新しい変異株が確認され、インド全体の感染数を急増させています。XBB.1.16というこの変異株はクラーケンの直接の後継種ではありませんが、WHOは監視対象に置いていると発表しています。


・インドの外で最も影響を受けている国の一つ、シンガポールでは、すでに新規感染の半分がこのアークトゥルスになっていると分析されています。[リンク


・このアークトゥルスのサブ株がすでに発見されています。この変異株は主にスパイクプロテイン以外の部分を進化させており、自分が感染した細胞をT細胞から見つかりにくくすることで、複製期間を伸ばし、感染を長期化させるよう変化している可能性があると分析されています。[リンク



日本の感染数も、東京を含む複数の地域で再び増えているようです。どのエビデンスも、コロナウイルス感染には免疫はつかないということを示しています。昔から人間は常に病原体と生きてきました。しかし、スコットランドでは50人に1人が長期障害を負ったというBBCの記事も今週配信されました。ここまで感染力が強く、予後の悪い病気はほかにはありません。十分気をつけてお過ごし下さい。



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