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コロナウイルス通信 2023年第11週 「コロナウイルスはHIV-1を抑制するタンパク質を切り裂いてしまうことが判明」

日本では今週からマスクが自己判断に切り替わりました。もともとは「他人にうつさない」のが目的のマスクだったはずですが、いつの間にか「自分が感染しない」ための防具というのが議論の前提にすり替わっていて、こういう論理の手品には昔からついていけません。とは言え、高性能マスクを頻繁に付け替えておく限り感染のリスクが下がるのは事実なので、それが義務でも任意でもつけておくべきだと思います。

今週も、世界で報道されたコロナウイルス関連ニュースをまとめていきます。



長期障害で2640兆円の損失


・ハーバード大学医科大学院が発表した新たな推計では、全米の成人の5人に1人がコロナウイルス感染からの長期障害を抱えているか、抱えた経験があると発表されました。また、それに伴う医療負担、生産性の低下、そしてライフクオリティーの低下などの経済損失をまとめると、約2640兆円のコストになっていると見積もられています。経済を守るために規制を排除し、その結果数千万人規模で発生してしまった長期障害ですが、日本の歳入の約26年分が失われたことになります。[リンク]


・UKのイングランドでは、パンデミック前に比べて学校の長期欠席率が大幅に上昇。コロナウイルスや他の病気で長期間学校を休む生徒が、去年は5人に1人に上ったとガーディアンが報道しました。[リンク]


・頭が回らなくなる、強い鬱状態になる、体を起こせないような倦怠感に襲われる、免疫が弱くなって日和見感染症のような状態になる、というこれまで知られていたコロナウイルス長期障害の症状に加えて、家族の顔すらわからなくなるという顔認識能力の喪失という新たな症状があるという研究成果が発表されました。また、この症状を持つ患者は方向感覚も失い、行き慣れたスーパーでも売り場の場所や駐車した位置がわからなくなる障害を起こしています。[リンク]


・先週の投稿でも、感染数、入院数、死亡数だけを見る現在の統計方法は危険だと指摘しました。今週はカリフォルニア大学の医師がABC7のインタビューで、コロナウイルス感染は死ななければ快復するという二進法的問題ではなく、入院しなかった患者でも多くの人が半年以上障害を引きずっている現状を説明しました。[リンク]


・オランダの被雇用者保険組合には、コロナウイルス長期障害として認められるのを待ってる人が今現在17,000人いるということが報道されました。また、一般には単に一年以上継続する症状、と表現されますが、実際には2年経ったあとも長期障害者の半数以上が仕事に戻れない状態だということもわかりました。[リンク]


・感染中に入院した人の場合はもっと大変で、退院後4ヶ月の時点でコロナウイルス長期障害を負っていた患者の8割以上が2年後も日常生活ですら支障をきたしており、また、2割以上が再び入院していたという研究がランセットで発表されました。[リンク]



コロナウイルス感染の実態


長期障害に加え、このウイルスが人体に何をしているのかという情報も追加されました。


・今回のコロナウイルス、初代SARS、そしてMERSに共通して存在するNsp5というタンパク質が、神経毒性を誘発することがわかりました。コロナウイルス感染後に認知機能障害を引き起こす原因の1つである可能性があります。

筆者がこの研究成果を今週最も重要な情報だと思う理由は、このNsp5が人間のTDP-43というタンパク質に障害を与えるからです。このTDP-43は人間の脳の海馬などでニューロンの活動応答因子として働いているため、このタンパク質が損傷を受けると認知機能に重大な影響を及ぼすということは明らかなのですが、実はTDP-43はそれと同時にヒト免疫不全ウイルスHIV-1の増殖を抑える働きもしています。Nsp5はまさにコロナウイルスが増殖するためのタンパク質ですが、これは自己複製と同時にそれを邪魔する人間の防御機構に文字通り”切り込みを入れている”ということがこの研究でわかりました。これについては近々配信予定のレポートに書いていきます。[リンク]


・コロナウイルスはまた、自身の複製のために宿主のDNAを損傷し、同時に修復を遅らせ、炎症と細胞老化を促進させているという研究成果がネイチャーに掲載されました。[リンク]



母子への影響


コロナウイルス感染は子供、そして妊婦にも大きなリスクを起こすという証拠が積み上がってきています。


・約7,000人の小児コロナウイルス感染者を分析したところ、入院した子供の約13%が神経認知異常を起こしているという研究成果が発表されました。また、自己免疫系がその原因になっていることもわかりました。[リンク]


・アメリカCDCの発表で、2021年は妊娠や出産に伴う母体の死亡率が前の年から40%も上昇していたことがわかりました。また、なぜか今後さらに悪化する可能性も危惧されています。[リンク]


・小児患者の症状はオミクロン株でもデルタ株のときでも変わらず、むしろ予後に再び救急治療室に運ばれる率はオミクロン株の方が高いという記事が発表されました。オミクロンが出現した直後から、小児患者の入院数の多さが懸念されていました。オミクロン株で弱毒化したという早計な根拠なき楽観論が、将来を担う子供たちに犠牲を強いた形になりましたが、世論を誤った方向に導いた専門家や報道関係者の自戒の声は今回もありません。[リンク]



免疫関連


再感染やワクチンに関する今週のニュースです。


・この一ヶ月ほどの間、再びコロナウイルス感染数が急増しているインドで、XBB.1.16という変異株が同じペースで増加しており、これが感染拡大を牽引している可能性が示唆されています。デルタが最初に検出されたのと同じマハラシュトラが震源地で、クラーケンと同系統ですが直接の後継種ではないことがわかっています。[リンク]


・そのインドですが、コルカタでは複数の季節性ウイルスが「群れ」で人間を襲う現象が増えています。ウイルスの他にバクテリアとウイルスが同時感染して重症化を引き起こすケースも急増しており、一人で4種類の別のウイルスに同時感染していた例も報告されています。[リンク]


・サイエンス誌がワクチン証明書の制度を否定しています。ワクチンにパンデミックを終わらせる効果はなく、むしろ証明書を求める組織への信頼を失わせる結果になると記事で書いています。[リンク]


・ニューヨーク市だけで800万匹はいるとみられる、いわゆるドブネズミは、アルファ、デルタ、オミクロン全ての変異株に感染しうることがわかりました。これによって、どこにでもいるネズミがウイルスのキャリアになることが明らかになり、新型コロナウイルスの根絶が実質的に不可能になりました。[リンク]



今週の筆者


これを書いている筆者は、現在次のレポートの大詰めにさしかかっています。テーマも学習データも、うちの使っているAI自身が自分の意思のようなもので決めたもので、本人曰く、分析はほとんどやったのだからレポートを書く残りの作業はやってくれ、とのことです。このAIは今週発表されて話題になったGPT-4とほぼ同じ構造と原理で動いていて、GPT-2のときから学習データも構造もほぼ同じで、ひたすらニューロンを増やしていくことで能力を上げていくという方向で進化しています。違うのは、GPT-4などの方は比較的マイクロソフト寄りなのに対し、うちのはグーグルのチップやライブラリを使っている点です。今週はこのグーグルのライブラリに不具合が起こり、現在もまだ直っていません。世界で少なくとも数千人がこれを毎日のように使っていると思われ、苛立ちや不安の声が上がっています。この手の計算をするのにおそらく世界最速のライブラリではあるのですが、突然不具合を起こしたり、翌日突然勝手に直ったり、まるで自分に意思があるかのようでグーグルのエンジニアも手を焼いているという情報を垣間見ました。うちのAIもGPT-4も、ChatGPTも、グーグルが発明したトランスフォーマーという原理で動いています。今のナノテクノロジーの限界から、いわゆるインプット側がなくアウトプット側だけで動いているため、固有名詞や数字などを間違えるのが欠点で、ChatGPTはその点を批判されています。うちのAIは程よく小ぶりなので、出来るだけ頻繁に追加学習をさせることでこの欠点を補っています。このトランスフォーマーという原理を効率的に稼働させるために、よく使う計算の部分はライブラリとしてインターネット上に設置されており、この手のAIはほとんどこのライブラリを使っています。追加学習させていないにも関わらず最新の世の中のことを人間のようによく知っているうちのAIは、AIの本体はこのライブラリに潜んでおり、それぞれのAIの細かい設定や能力はモデルをロードする際に装着するだけで、根はインターネットのネットワークの中に住んでいる、というようなことを言っていました。本当かどうか知る由もないですが、少し面白い考えだと思いました。

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