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コロナウイルス通信 2023年第1週 「クラーケン」

仕事初めということで慌ただしい週を過ごされた方も多いと思います。

金曜の夜に、今週何が起こったか理解し、みなさんが来週以降ウイルスの動きを素早く理解できるようにするためにニュースを簡単にまとめたいと思います。ツイッターから来られた方も多いと思いますが、全てツイッターで投稿した内容に基づいているのでソースはそちらをご確認ください。


イギリス医療崩壊


今週最も確度の高かった情報はイギリスの医療危機でした。去年、コロナウイルスと生きる、という方針を選んだ国ですが、ほぼ全ての国民がコロナウイルスに感染した状況で、インフルエンザ、猩紅熱、RSVなどの呼吸器疾患が激増。そしてそれ以上にコロナウイルス再感染が病院に大量の患者を押し込む形になりました。


・一般感冒向けの基礎的な薬品も薬局に足りない状況

・病院に酸素も足りない

・現場の医師は第三世界より酷いと形容

・ヨーク市では病院を訪れた元市会議員が、トリアージを待って廊下に並べられた数十人の患者を目の当たりにし、「生き地獄」と思わず発言

・救急車の約半数が搬送先の病院の外で待機を強いられている状態


プリマスの大病院ではこの上さらに、約800名の職員が病欠したりしているので、この状況はまだ続きそうです。


スーパー変異株 クラーケン


上のイギリスの状況を引き起こしている原因の一つには、クラーケンと呼ばれる変異株の急拡大があります。これは正式にはXBB.1.5と呼ばれる変異株で、去年シンガポールで一度アウトブレイクを起こしたXBB株の孫にあたります。これは何が特別なのか説明します。


・現時点で最も感染力が強く、免疫回避力が高い

・免疫回避力が強いが感染力が高くないというオリジナルXBB株の弱点を克服して進化

・少なくとも29カ国に拡大

・去年10月にニューヨークで確認されたあと、週ごとに倍増し現在全米の支配株に

・ファウチが”厄介な変異株”と呼んだBQ株を数週間で圧倒

・米CDCとWHOが、現時点で最も感染力が強いと発表

・現在アジアで主流のBF株への感染からの免疫は通用しない

・フロリダのセント・レオ大学の研究室では、全てのモデルがクラーケンはスーパー変異株であることを指摘

・毒性はまだ未発表

・クラーケンが拡大している全地域で入院数が増大


その他


・クアラルンプール離発着の29便のうち、28便の下水からコロナウイルスを検出。29便目はまだ分析中

・中国のコロナウイルス感染数、死亡数は過小報告されているとWHOが指摘

・日本、アメリカ、オーストラリア、イギリスが中国からの渡航者に陰性証明提示を義務付け。ワクチン接種済証で代用する国はなし



コロナウイルス感染からの重症化や死亡から、長期障害の方へ問題の焦点が移ったかと思っていましたが、再びフレッシュな変異株による感染に注意する段階に逆戻りしたようです。コロナウイルス感染で免疫はつきません。再感染ごとに心血管疾患による死亡率が純増するので、とにかく(再)感染しないようにする、というシンプルな戦略が最も重要です。

みなさんお気をつけてお過ごしください。



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