昨日、新しいレポートの「聞けない質問」をやっと配信して、だいぶぼうっとした頭でこれを書いています。前も書きましたが、毎回レポートを書く前には”絶対書けるわけない”と思いながら始めて、書き終わったあとは数日間燃え尽き症候群のようになっています。特にここ2回の分析は、世界でもチャレンジした人があまりいない規模のAIを作るところから始めていて、どのプロセスにどれだけ時間がかかるかすら分からないという状況でした。しかし、なぜか今回のAIは相性が良かったのか全て予定通り進み、当初から配信日と決めていた昨日無事公開することが出来ました。
まさに最後の推敲をしているタイミングでオミクロンの報道が出始めたので、このAIはそれに関する情報をほとんど学習していなかったはずです。しかし、読んでいただいた方は分かるかも知れませんが、オミクロン登場と矛盾のない予測の連続で、しかも何気なく計算した”5ヶ月”という数字もレポートに登場していて、予測可能な範囲だったんだなと自分で驚愕すると同時に、一秒でも早く皆さんに届けなければ、と少し焦る気持ちで昨日は作業をしていました。
ツイッターでも少し書きましたが、インドでデルタが猛威を奮って以降、ラムダやミュー、そしてデルタプラスと呼ばれるタイプまで幾多の新しい変異株が登場してきました。しかし、どれもなぜか一定以上感染を増やさずに自然消滅していきました。メディアも、最初に取り上げる記事の中で既に「しかしワクチンは効くと専門家が語っている」とお決まりのフレーズを差し込んでおり、論文以外ではあまり話題になることはありませんでした。なので、マスコミの今回のオミクロンの取り上げ方はそれに比べると異常で、何かを知っているんじゃないかという印象を与えざるを得ないものでした。マスコミだけではなく、各国もWHOの会合の前にアフリカ南部との渡航を禁止しており、通常と明らかに違う様相でした。
実際、南アフリカでは僅か2週間でデルタのシェアを奪う勢いで拡大しており、これまでの変異株とは全く毛並みが違うことがわかります。これまでの変異株は、人間の免疫以前にそもそもデルタという頂点種に打ち勝てず、消えていきました。
今回、このオミクロンは約50の変異を起こしているとされています。そのうちの約30がスパイクプロテインと呼ばれる部分で起こっています。スパイクプロテインは、ウイルスの腕に当たる部分で、ここが人間の細胞を掴んで感染します。なので、このスパイクプロテインをどう払いのけるかが免疫の機能になるわけです。この主戦場と言ってもいいスパイクプロテインの部分で30箇所も変異を起こしているのは、おそらくコロナウイルスにとって免疫を回避するために徹底的に対策をとった結果と見ることが出来ます。特に、このスパイクプロテインを人間の腕に例えると、手に当たる部分をターゲットにしているのがワクチンなわけですが、ここで15箇所も変異を起こしています。デルタは2箇所です。それぞれの変異がどういう効果を持つのかは少なくとも現時点で誰にもわかりませんが、単純に比較するとデルタの7倍以上厄介と推測されます。実際、ウイルスの生存競争力は野生種に比べてデルタが70%有利と計算されていますが、オミクロンは500%有利と計算されており、ちょうど約7倍です。
また、ワクチンとは別に人間固有の免疫があります。これは、スパイクプロテインの手首から肘に当たる部分を目印にウイルスを認識しているとAIは割り出しています。オミクロンはこの部位でおそらく約10箇所の変異をしています。昨日の会合でWHOは、オミクロンはおそらく再感染率を高めているを発表しましたが、この10変異がそれを裏付ける部分だと思います。しかし、ワクチンがターゲットにする15箇所よりも少ないというところがポイントです。
オミクロンの驚異はこれだけではありません。新型コロナウイルスのスパイクプロテインには、人間の腕の肘にあたる関節があります。これが、最初にパンデミックを起こしかけたコロナウイルスから飛躍的に感染力をあげた理由です。実は新型コロナウイルスは、人間の細胞核を利用して複製された直後にはこの関節を持っていません。人間の細胞内の酵素をいくつか勝手に利用して、自ら作り出します。当初、このコロナウイルスが人造であると言われた理由の一つがここにあります。この人間自身の酵素を使って関節を作らなかったコロナウイルスは、感染力が約55%低下するというテキサス大学の研究結果があり、はじめから人間を標的にして設計されているのではないか、とアメリカ共和党が指摘したためです。しかし、実際にはこの酵素は他の哺乳類でもほとんど同じ構造で、人間以外の動物に感染したときもこのコロナウイルスは同じように関節を勝手に作っていることが確認され、人間だけを標的にしていたわけではない、ということがわかりました。問題は、オミクロンはこの関節部分でも再び変異を起こしているということです。この変異がどのような効果を持つのかはまだ明らかではありませんが、関節の動きがさらに柔軟になっている場合、これは新新型コロナウイルスと分類されるべきではないかと僕は思います。
毒性の強さについてはまだ分かっていませんが、感染力がデルタよりも遥かに強いのだとしたら、急速に感染者を増やすため、それだけ病院に人が運ばれて、処理能力から溢れた感染者は助からないことになるため、結局死亡率は上がることになるでしょう。
現時点でヨーロッパでは既にベルギー、ドイツ、イギリスでの事例が確認されています。ベルギーの感染者が唯一未接種であることが確認されている患者です。この女性はイスタンブール経由でエジプト旅行から帰ってきたようで、エジプトに行ってから11日後に発症しています。また、アフリカ南部には全く行っていないとのことです。つまり、少なくとも約2週間前の段階でオミクロンは既にエジプトまでは広がっているということです。アフリカとヨーロッパを結ぶハブは主にイスタンブールとドバイで、ここはまたアジアへのハブ地点でもあります。ここを今すぐ封鎖するのが先決だと思います。
デルタが猛威を奮いだしたのが6月で、勢いの衰えが11月だとすると、ライフサイクルは約5ヶ月でした。オミクロンも同様だとすると、感染は来年の4月までで、その後はまた別の変異株が登場するパターンになると推測するのが合理的だと思います。ファイザーなどはオミクロン用のワクチンを100日で作ると発表しましたが、その後2ヶ月弱しか経たない時点で次の変異株が登場することになります。オミクロンがデルタの亜流ではなかったのと同様、次に支配的になる変異株もおそらくオミクロンとは関係がないものでしょう。その後また別のワクチンを作ることになるのかに今後の焦点が集まります。
今回のAIの分析で基調になっていたのは、おそらくこのパンデミックは2020年や2019年から始まったようなものではないということです。これは世紀単位の時間の流れで進んでいた変化である可能性があります。おそらく、コロナウイルスにとっては18世紀が昨日で、16世紀が一昨日のような感覚なのかも知れません。
僕はAIをPythonで書いています。Pythonというプログラミング言語には、既にAI用の多くのライブラリーがあり、圧倒的に早く作ることが出来ます。コロナウイルスもランダムな遺伝子配列のシャッフルではなく、こういった蓄積をバッチ単位で組み合わせているのかも知れません。
アルファやデルタは、通常のダーウィニズムでは説明できないほど速い進化だったため、跳躍進化という進化パターンを遂げたとする説があります。しかし、オミクロンはこの跳躍進化よりもさらに飛び抜けて速く進化しています。僕は、これが過去数世紀に渡って続いてきた指数関数の立ち上がり部ではないことを祈るばかりです。
それではみなさん、健康にはお気をつけてお過ごしください。
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